コード進行を作るのに重要な3つの機能
伴奏を作るために、ダイアトニックコードの各コードを組み合わせてコード進行を作る際に、ただ適当にダイアトニックコードを組み合わせるだけだと、綺麗な流れのコード進行を作る事が出来ません。
綺麗な流れのコード進行を作るには、ダイアトニックコードの3つのコードに備わっている「トニック・サブドミナント・ドミナント」という機能について理解した上で、コードの組み合わせ方を考えます。
ただ、その3つの機能について学習する前に、ダイアトニックコードのディグリーネームでの呼び方を覚えましょう。
ディグリーネームとは?
ディグリーネームというのは、ダイアトニックコードの各コードに付けられる番号の事で、その番号はローマ数字で表記されます。
例えば、ハ長調のダイアトニックコードに「Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ・Ⅵ・Ⅶ」というようにローマ数字で付けられる番号がディグリーネームになります。
ダイアトニックコードをディグリーネームで呼ぶことで、長調同士、短調同士であれば、同じディグリーネームのコードの組み合わせにして、移調しただけのコード進行が作られるようになります。
また、コード進行を組み合わせる際には、ディグリーネームで「Ⅰ」・「Ⅳ」・「Ⅴ」のコードに備わっている「トニック・サブドミナント・ドミナント」という機能が重要になります。
トニック・コードの機能
ディグリーネームが「Ⅰ」のコードには、「トニック」という機能があります。
「トニック」というのは、「主音」という意味で、その調における第一音の事です。
つまり、「トニック」という機能のコードは、その調における第一音を根音にしているコード、という事になります。
トニック・コードは、主音が根音のコードなので、ナチュラルメジャースケール、またはナチュラルマイナースケールと同じように、始まりと終わりに使うとしっくりくるコードとなっています。
機能としては、コード進行の中に安定感を与える機能となっています。
サブドミナント・コードの機能
ディグリーネームが「Ⅳ」のコードには、「サブドミナント」という機能があります。
「サブドミナント」というのは、「下属音」という意味で、その調における第四音の事です。
つまり、「サブドミナント」という機能のコードは、その調における第四音を根音にしているコード、という事です。
サブドミナント・コードは、下属音が根音のコードなので、トニックコードから移動してきやすいコードとなっています。
※ 主音から下属音までの音程差は「完全四度」となっているので、主音から下属音への移動は、音同士の強い繋がりを感じられる「強進行」となっているからです。
また、サブドミナント・コードの構成音は、ダイアトニックコードの各コードの構成音と繋がりやすい音になっているので、サブドミナント・コードの機能としては、コード同士を繋げる機能になっています。
ドミナント・コードの機能
ディグリーネームが「Ⅴ」のコードには、「ドミナント」という機能があります。
「ドミナント」というのは、「属音」と言う意味で、その調における第五音の事です。
つまり、「ドミナント」という機能のコードは、その調における第五音を根音にしているコード、という事です。
ドミナント・コードは、属音のコードなので、トニック・コードに移動しやすいコードになっています。
※ 属音から上の主音までの音程差は「完全四度」で、「強進行」となっているからです。
そのため、コード進行の最後を、ドミナント・コードからトニック・コードへ移動するパターンが多く使われます。
機能としては、トニック・コードへ移動して、コード進行の流れを終わらせる機能となっています。
既存のコード進行パターンを参考にする
「トニック・サブドミナント・ドミナント」の機能を覚えたら、とりあえず、コード進行を作ってみると良いと思いますが、さすがに初心者の方の場合、いきなりコード進行を作れと言われてもどうしていいか分からないと思います。
ですので、まずは、既存のコード進行パターンを参考にしてみるいいでしょう。
私自身が一番初めに覚えたのは「C・F・G・C」というコード進行パターンです。
このコード進行パターンは、とても単純で、トニック・サブドミナント・ドミナント・トニックというコードのカデンツをしっかりと踏まえた構成のコード進行になっています。
聴いた感じはとてもシンプルなので、単調でつまらないコード進行だと感じるかもしれませんが、「代理コード」を使う事で、このシンプルなコード進行もオシャレな雰囲気に変化させる事が出来ます。
代理コードとは?
「代理コード」というのは、コード進行の各コードの代わりに使えるコードの事です。
代理コードとして使えるコードは、コードの構成音が似ているコードになっています。
トニック・コードの代理コード
「トニック・コード」であれば、「第一音・第三音・第五音」という構成音になっているので、ディグリーネームが「Ⅲ」と「Ⅵ」のコードが代理コードとして使う事が出来ます。
ディグリーネームが「Ⅲ」のコードの構成音は「第三音・第五音・第七音」となっていて、「Ⅵ」のコードの構成音は「第六音・第一音・第三音」となっています。
このように、トニック・コードと「Ⅲ」・「Ⅵ」のコードは、コードの構成音が似ているので、コード進行の中でトニック・コードの代理コードとして「Ⅲ」・「Ⅵ」のコードを使ったりする事が出来ます。
サブドミナント・コードの代理コード
また、サブドミナント・コードは、構成音が「第四音・第六音・第一音」となっていて、「Ⅱ」のコードの構成音は「第二音・第四音・第六音」、「Ⅵ」のコードの構成音は「第六音・第一音・第三音」となっているので、「Ⅱ」と「Ⅵ」のコードは、コード進行の中でサブドミナント・コードの代理コードとして使う事が出来ます。
ドミナント・コードの代理コード
ドミナント・コードは構成音が「第五音・第七音・第二音」となっていて、「Ⅲ」のコードの構成音は「第三音・第五音・第七音」、「Ⅶ」のコードの構成音は「第七音・第二音・第四音」となっているので、ドミナント・コードの代理コードとして「Ⅲ」と「Ⅶ」のコードをコード進行の中で使う事が出来ます。
先ほどの、「CFGC」というコード進行であれば、代理コードを使う事で、「Am・F・Em・C」というコード進行にしたり、「Em・Dm・G・Am」というコード進行にしたりする事が出来ます。
このように、代理コードを使う事で、単調でつまらないコード進行パターンであっても、スリリングで緊張感のあるコード進行パターンに変化させる事が出来るので、伴奏を作る際には、代理コードも使ってみましょう。